抄録
Failed back syndrome (以下FBS) の診療上の問題点は, 医療提供側の客観的評価ではなく,医療を受ける側の主観的評価にゆだねられていることと画像での診断能力が低いことに集約される. 後者の限界を補うために, 神経根ブロックによる機能診断が重要となる. また, FBSの発生の予防と治療に対し, とくに精神・心因上の問題に関する福島医科大学整形外科での取り組みについて紹介する. 最後に, FBSの治療におけるエピドラスコピーの可能性と解決しなければならない問題点について, 実験結果や腰仙椎部椎間板ヘルニア患者に対する治療成績を踏まえ, 著者の考えを述べる.