日本ペインクリニック学会誌
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12 巻, 2 号
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  • エピドラスコピーによる評価と限界
    大谷 晃司
    2005 年12 巻2 号 p. 59-68
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    Failed back syndrome (以下FBS) の診療上の問題点は, 医療提供側の客観的評価ではなく,医療を受ける側の主観的評価にゆだねられていることと画像での診断能力が低いことに集約される. 後者の限界を補うために, 神経根ブロックによる機能診断が重要となる. また, FBSの発生の予防と治療に対し, とくに精神・心因上の問題に関する福島医科大学整形外科での取り組みについて紹介する. 最後に, FBSの治療におけるエピドラスコピーの可能性と解決しなければならない問題点について, 実験結果や腰仙椎部椎間板ヘルニア患者に対する治療成績を踏まえ, 著者の考えを述べる.
  • 帯状疱疹患者の神経ブロックを基盤として
    古屋 京子, 成田 英之, 松本 晶平, 一色 淳, 渡辺 泰雄
    2005 年12 巻2 号 p. 69-75
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    帯状疱疹患者での疼痛反応と末梢血中NO産生との関連性を明らかとするため神経ブロック施行前後の血清NOx変動を測定した. 対象はC6~L2領域の帯状疱疹に罹患したVAS3以上の患者20例(年齢68.6±4.0歳, 男:女=7人:13人) である. 0.375%ロピバカイン6mlを硬膜外投与し, ブロック前およびブロック後30分, 90分にVAS値を測定した. 同時に採取した血液で高感度HPLC-UV法を用い, 血清NOx (NO2-, NO3-) を測定した. 統計学的分析は繰り返しのある二元配置分散分析法で行った. 帯状疱疹発症から神経ブロック施行までの期間は5日~4年であった. (1)全症例ともVAS値がブロック前に比べ30分, 90分後で低下した. (2)血清NOx値は, ブロック前と比較し30分後では10%以上, 90分後では20%以上低下した. (3)病期の異なる帯状疱疹痛において, 慢性期では除痛とNOx値減少との間で正の相関性が認められた. 本研究は慢性期の帯状疱疹痛と末梢血でのNO産生との相関性を示唆するものである.
  • 小松 博, 松元 茂
    2005 年12 巻2 号 p. 76-81
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    胃癌術後の患者管理鎮痛法における demand dose の注入液量を変えることにより, 鎮痛効果や副作用に差が生じるかを無作為二重盲検法で検討した. 胃切除予定患者40名を対象とし, フェンタニル25μgとブピバカイン5mgの demand dose を2.5ml群 (非希釈), 9.9ml群 (最大希釈) の注入液量で投与されるように設定し, 鎮痛効果, 副作用を調査・検討した. 薬液使用量やVASからみた鎮痛度に両群で有意差はみられなかったが, 掻痒感の頻度は有意に9.9ml群が多かった. この患者管理鎮痛法において, demand dose を最大限に希釈することによる臨床上の利点はみられなかった.
  • 雨森 泰己, 平川 奈緒美, 荒木 和邦, 東元 幾代, 十時 忠秀
    2005 年12 巻2 号 p. 82-86
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    特発性硬膜外膿瘍は, きわめてまれと考えられているが, われわれは健常な若年者に発症し, 経皮的な硬膜外腔排膿と洗浄とで短期間で膿瘍の消失を認めた症例を経験した. 患者は, 生来健康な17歳男性で, 突然の背部痛と発熱とを主訴に来院した. MRIにて胸椎領域に硬膜外膿瘍を認めたため, 経皮的硬膜外腔穿刺排膿・洗浄術を施行した. 硬膜外腔の穿刺で, 膿性排液が排出された. 膿瘍を吸引し, 硬膜外腔をゲンタマイシン入りの生理食塩液にて洗浄した. 膿瘍を培養した結果, 黄色ブドウ球菌が起因菌として検出された. 10日後にはMRI上, 硬膜外膿瘍は消失していた. 筋力低下などの神経学的所見は経過を通して認められなかった. 硬膜外膿瘍は, 遠隔感染巣からの血行性転移, 隣接臓器や周囲組織からの直接波及, 医原性などが原因とされるが, この症例では明らかな外傷は認められず, ほかの免疫不全などの背景もなかった. 経皮的硬膜外腔排膿・洗浄により膿瘍の消失が短期間で認められた.
  • 黒川 博己, 仁井内 浩, 中布 龍一, 河本 昌志, 弓削 孟文
    2005 年12 巻2 号 p. 87-90
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    慢性疼痛患者の鎮痛補助薬として, 抗精神病薬が必要となる場合もある. 今回, 非定型抗精神病薬であるフマル酸クエチアピンを使用し, 痛みにより低下していた日常生活の質 (QOL) の改善が得られた慢性疼痛患者を3例経験した. フマル酸クエチアピンは, セロトニン・ドパミン拮抗薬と呼ばれる抗セロトニン作用と抗ドパミン作用をあわせもつ抗精神病薬であり, 陽性症状 (妄想, 興奮など) と陰性症状 (感情鈍麻, 思考・意欲減退など) の両方によい効果が期待できるとされている. 疼痛軽減が得られたのは1症例であり, 直接の疼痛軽減作用については不明であるが, 各種治療に抵抗性の慢性疼痛患者の生活意欲の向上, 夜間不穏の改善などを通しQOLの改善に有効である可能性が示唆された.
  • 仲西 未佳, 西川 精宣, 中西 美保, 飯室 慎祐, 小田 裕, 浅田 章
    2005 年12 巻2 号 p. 91-94
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    帯状疱疹にさまざまな悪性疾患の合併が多いことが知られているが, 今回われわれは, 帯状疱疹痛の経過中に慢性 graft-versus-host disease (GVHD) を発症した1症例を経験した. GVHDの鑑別診断の過程で, 硬膜外膿瘍や薬物起因性反応を除外するために, 帯状疱疹痛に対する治療としての持続硬膜外ブロックや, 使用中であった薬物は一時的に中止せざるを得ず, ロピバカインを用いたイオントフォレーシスによりペインコントロールを行った. ロピバカインを用いたイオントフォレーシスの報告はないが, 有効な手段の一つであった.
  • 森岡 亨
    2005 年12 巻2 号 p. 95-97
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    肥満患者の神経ブロックにはしばしば難渋する. 38歳男性 (168cm, 124kg), および幼児期のポリオ後遺症で腰下肢の運動障害, 萎縮, 躯幹の肥満の51歳男性 (身長測定不能, 体重75kg) に, 脊髄麻酔下の痔疾手術が企図された. 前者では高度の肥満のために腰椎棘状突起や腸骨稜を触れず, 後者では胸郭変形, 脊柱の側膏と長軸方向捻転, 骨盤の非対称性のため, くも膜下穿刺ができなかった. 両者とも腎部の肥満のために仙尾骨も触れなかったが, 肛門内指診では, 仙尾骨前面には余分の脂肪組織がなく, 直腸内から仙尾骨の輪郭を容易に確認できた. 肛門内外からの双手診により得た立体感覚を基礎に, 体表からの仙骨硬膜外麻酔による適確な神経ブロック効果が得られ, 手術が可能になった. 仙骨硬膜外麻酔の安全性の向上や適応拡大のために, 肛門内指診の機会をみつけ, 仙尾部の解剖学的関係を直腸側からも体感しておくことを, ペインクリニシャンや麻酔科医に勧めたい.
  • 西木戸 修, 舘田 武志, 岡本 康朗, 角倉 弘行, 田尻 治, 宮里 亨子, 宮沢 章子
    2005 年12 巻2 号 p. 98-100
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    von Willebrand 病 (以下vW病) は, わが国では遺伝性出血素因のなかで血友病Aに次いで多い出血性疾患である. 出血性疾患を伴う患者での神経ブロックはブロックに伴う出血の危険性があるため, その適応の決定には慎重な判定が必要である. また実施する場合にはブロック前後による止血管理が重要である. 今回, われわれはvW病を合併した腰部脊柱管狭窄症患者に対し, ブロック前後に第VIII因子/vW因子濃縮製剤の補充療法により止血管理を行い, 腰部交感神経節ブロックを施行した症例を経験した. 第VIII因子/vW因子濃縮製剤の1回投与量と投与間隔を決定するために, ブロックに先立ち試験投与を行った. その結果を参考に補充療法を実施したところ, ブロック後の出血もなく安全に管理することが可能であった.
  • 末次 啓子, 冨重 治
    2005 年12 巻2 号 p. 101-104
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    腰痛の診療においては, 感染性疾患の鑑別が重要である. 経験した症例を通じて早期診断のための留意点を検討した. 症例1は57歳女性で, 糖尿病を合併し, 上気道炎による咳を契機に腰痛が発症した. 叩打痛を伴う, 尾骨右側に限局した腰痛を訴えたが, 発症様式より急性腰痛症と考えて硬膜外ブロックを施行した. 腰痛は一時軽快したが急性増悪し, 血液検査と骨シンチで右化膿性仙腸関節炎と判明した. 症例2は46歳男性で, 重症の肺炎・腎盂腎炎の治療中であった. 初診時より叩打痛を伴う限局した激しい腰痛を訴えていたが, 既知の感染症の治療を優先し, 原因検索を行わなかった. 薬疹出現による抗菌剤中止後に急性増悪, 神経症状が出現した. MRIで化膿性椎間板炎と判明した. 感染性疾患の特徴所見は疼痛, 発熱, 白血球数の増加で, なかでも局所の疼痛, 叩打痛は出現頻度の高い注意すべき症状である. 丁寧な問診・視診・触診によって感染性疾患を疑い, 好機を逃さず血液検査・画像診断を行うことが重要である. 化膿性仙腸関節炎では骨シンチ, 化膿性椎間板炎ではMRIが画像診断上最も有用である.
  • 舌咽神経痛の2症例
    中谷 俊彦, 蛭田 博行, 茂山 泰樹, 李 新恵, 土井 克史, 佐倉 伸一, 齊藤 洋司
    2005 年12 巻2 号 p. 105-108
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    三叉神経痛, および舌咽神経痛は発作性の強い痛みを生じ, ときに日常生活も妨げられる. 治療薬の第一選択は抗けいれん薬であるカルバマゼピンであるが, 発疹, 汎血球減少症, ふらつきなどの副作用や, 長期使用時における効果の減弱などにより, ほかの侵襲的な治療法の適用を余儀なくされることも多い. 今回, バクロフェンが有効と考えられた三叉神経痛と舌咽神経痛の症例をそれぞれ経験したので報告する. カルバマゼピンによる発疹の既往歴を有する左三叉神経痛の65歳男性は, visual analogue scale (VAS) で100mmの強い疼痛発作症状を訴えた. 局所麻酔薬による神経ブロックの効果が不十分であったためバクロフェン10~15mg/dayを投与したところ, 疼痛発作の消失を認めた. 左舌咽神経痛の76歳男性は, カルバマゼピンと漢方薬内服および局所麻酔薬による舌咽神経ブロックで治療を行っていた. しかし, 嚥下時の痛みが増強したため (VAS=96mm), バクロフェン15~20mg/dayの投与を開始した. バクロフェンの併用開始後に疼痛コントロールが可能となった (VAS=36mm). カルバマゼピンが使用できない場合や, 効果が減弱した場合にはバクロフェンの使用は有用であると考えられた.
  • 出羽 明子, 鈴木 雅夫, 佐藤 薫, 島田 二郎, 大槻 学, 村川 雅洋
    2005 年12 巻2 号 p. 109-112
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    経皮的椎体形成術は, 骨折した椎体の固定と疼痛軽減に有効であるが, 避けるべき合併症としてセメントの椎体外漏出がある. 今回, 悪性腫瘍による第6胸椎 (Th6) 椎体圧迫骨折の疼痛緩和およびQOL改善を目的として, CT透視下に経皮的椎体形成術を施行した際, 注入した椎体より高位の硬膜外腔内へ骨セメント漏出した症例を経験した. CT透視では注入レベルの椎体外への漏出は認められなかったが, 注入レベル外での漏出も念頭に入れて施行すべきである.
  • 2005 年12 巻2 号 p. 113-114
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
  • 2005 年12 巻2 号 p. 115-116
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
  • 2005 年12 巻2 号 p. XII-XV
    発行日: 2005/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
  • 2005 年12 巻2 号 p. XVII
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
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