日本ペインクリニック学会誌
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硬膜外脊髄電気刺激療法が著効した脳卒中後中枢性疼痛の1例
平山 徹香曽我部 義則
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2005 年 12 巻 4 号 p. 396-399

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抄録

脳内出血, 脳梗塞後に発症した中枢性疼痛の患者に対して, 硬膜外脊髄電気刺激療法 (SCS) が著効を示した症例を経験したので報告する. 症例は60歳代の女性, 4年前に, 右脳内出血をきたし, 血腫除去術を受けた. その3カ月後に, 脳梗塞により左半身不全麻痺, 続いて3週間後に右半身不全麻痺をきたし, 右上下肢と右眼窩部に灼熱痛とアロディニアがみられるようになった. 頭部CTでは, 右側頭葉と被殻領域に低密度領域 (梗塞巣) がみられ, 脳血流SPECTで両側の視床領域に血流低下を認めた. その後各種疼痛治療を受けたが効果はなく, 2002年9月, 激痛(VAS100/100mm)を訴えて当科に紹介された. リドカイン, チアミラール, モルヒネ, ケタミンを用いたドラッグチャレンジテスト(DCT)では, ケタミンにのみ著効を認めた. しかしながら, 嘔気のためにケタミンの点滴投与による治療は拒否した. そこでケタミンが著効を示す場合に効果の可能性が示唆されているSCSを頸椎C4~C6レベルで試みた. 効果は良好で, 痛みはVAS20/100~30/100mm程度に軽減した.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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