日本ペインクリニック学会誌
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精神症状が顕著となった複数部位発生のCRPS type Iの治療に電気痙攣療法を施行した1例
長谷川 和彦畠山 登朝日 丈尚大江 公晴山崎 光章
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2006 年 13 巻 2 号 p. 136-141

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抄録

異なる部位に複合性局所疼痛症候群 (complex regional pain syndrome: CRPS) が発生し, その治療の過程で精神症状が顕著となり, 電気けいれん療法 (ECT) を導入した症例を報告する. 患者は34歳男性で右膝の手術後, 右下肢のCRPS type Iとなった. 腰部交感神経ブロック等の治療によりいったんは軽快したが, 2ヵ月後に再燃を認めた. この頃から, 抑うつ症状, 興奮などの精神症状が顕著となり, 神経精神科による薬物治療が加わった. さらに同時期, 左手の化膿性腱鞘炎が発生し切開排膿術が施行されたが, 術後非常に強い疼痛を訴え, 症状から同じくCRPS type Iと診断された. これに対し星状神経節ブロックや薬物療法を初めとするさまざまな治療が施行されたが効果がみられず, ECTを施行したところ, 上肢, 下肢ともに視覚的アナログ疼痛スケールスコアの低下および日常生活活動の改善を認め, 約4週間に一度の維持ECTにて社会復帰を果たしている.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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