日本ペインクリニック学会誌
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13 巻, 2 号
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  • 中川 五男, 日高 昌三, 岡田 泰典, 久保 隆嗣, 岡村 健太, 加藤 貴大
    2006 年 13 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    顔面神経麻痺患者100症例を対象とし, 背景因子, Electroneuronography (ENoG), 味覚検査, アブミ骨筋神経反射 (stapedial reflex: SR), blink reflex (BR) と予後との関係を検討した. 麻痺の臨床的評価は40点法による麻痺スコアで36点以上を治癒とした. 6カ月以内で治癒した症例を治癒群, 6カ月後も治癒しなかった症例を非治癒群として各因子を多変量解析したところ, ENoG (初診時) とSRが予後の予測因子として信頼性が高いと判定された. 1カ月以内で治癒した群, 1~6カ月で治癒した群, 6カ月後も治癒しない群の3群で検討したところ, BRは1カ月以内の早期治癒を評価するうえで有用な検査であることが示された.
  • 西木戸 修, 岡本 健一郎, 増田 豊, 橋本 誠, 樋口 比登実, 舘田 武志
    2006 年 13 巻 2 号 p. 113-117
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    顔面神経麻痺発症初期の electroneuronography (以下, ENoG) において, 患側の振幅が健側のそれより有意に大きくなる現象を認めることがある. 今回われわれは, 患側大振幅の臨床的意義について検討するために, ENoGにて患側大振幅を示した症例の予後を調査した.
    患側大振幅症例は42名中10名であり (頻度24%), 最大ENoG値はすべて4日以内に出現した. 患側大振幅症例は, 電気生理学的検査では完全脱神経に至ることはなかった. 全症例が完全治癒したことから, 患側大振幅症例は予後がよいことが示唆された.
    ENoGは発症3日以内では診断意義は低いとされていたが, 今回, 発症から4日以内に患側大振幅を示す症例は予後がよく, 早期予後診断としての意義があると考えられた.
  • 金子 裕子, 村井 邦彦, 舛田 昭夫, 湯田 康正, 槇田 浩史
    2006 年 13 巻 2 号 p. 118-121
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    症例: 患者は47歳女性で, 20歳頃より右眼窩深部と右側頭部から後頭部にかけて拍動性の激しい頭痛が出現した. 頭痛は右眼球結膜充血, 流涙, 鼻閉, 嘔吐を伴っていた. 血管性頭痛との診断で, 発症当初より近医で星状神経節ブロック (stellate ganglion block: SGB), トリガーポイントブロック, エルゴタミン製剤頓服等の治療が行われたが, 効果は一時的であった. 右側頭部および後頭環椎関節部の圧痛を認めたため, SGBを2回施行した後, 透視下に右耳介側頭神経ブロック, 右後頭環椎関節ブロックを施行した. ブロック直後より頭痛は消失し, 夜間睡眠も良好となった. 5日後より軽度の右後頭部痛が再び出現したが, SGBとエルゴタミン製剤の内服により改善した. 以後1年以上の間, 頭痛発作は生じていない. 結語: 群発頭痛に対し, 耳介側頭神経ブロックと後頭環椎関節ブロックの併用が有効であった.
  • 桜本 千恵子, 高良 麻紀子, 小磯 進太郎, 池本 繁弘
    2006 年 13 巻 2 号 p. 122-127
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    疼痛を主訴にペインクリニックを受診したが, 確定診断が遅れてしまった悪性腫瘍の2症例を経験した. すでに他科で悪性腫瘍を否定されていたため, 腰椎圧迫骨折と診断し, 腰痛に対する治療を行った. 症状が激しく進行性であり, 神経ブロックの効果が短時間で治療に抵抗性であったため精査を予定したが, 全身状態が急変した. 2症例ともに肺癌による多発性脊椎転移であった. 高齢者の難治性腰痛では, 常に悪性腫瘍の転移による病的骨折を疑い, 検査を繰り返す必要がある.
  • 村谷 忠利, 田中 源重, 藤原 俊介, 南 敏明
    2006 年 13 巻 2 号 p. 128-131
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    頭部打撲などの既往がなく, 特発性低髄液圧症候群 (spontaneous-intracranial hypotension: SIH) と診断され, その後の経過で特発性低髄液圧症候群が頭蓋内圧低下を引き起こし慢性硬膜下血腫が併発した症例に対し, 硬膜外自己血パッチ (epidural blood patch: EBP) が有効であった症例を経験したので報告する. 症例は42歳女性. 1ヵ月前, 強い頭痛が起こり近医受診した. 精査の結果, 右慢性硬膜下血腫, 左硬膜下水腫, 第2~3頸椎の高さに髄液漏が確認され, 当院脳神経外科に入院となり, EBPの目的で当科に紹介となった. 第7頸椎, 第1胸椎間より硬膜外腔を穿刺し, 自己血7mlを注入後, 穿頭血腫除去術を施行され, 術直後より頭痛の症状は消失した.
  • 筒井 雅人, 唐澤 富士夫, 児玉 光厳, 大島 孝, 梅田 英一郎, 風間 富栄
    2006 年 13 巻 2 号 p. 132-135
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    83歳の男性. 腰椎椎間板ヘルニアおよび脊柱管狭窄症による腰下肢痛に対して硬膜外ブロックを月1回施行していた. 9回目の腰部硬膜外ブロック後2日目より下肢のしびれと痛みが増強し, 5日目に精査加療目的で入院した. MRIによりL5椎体領域の右腸腰筋内 (径4×3cm), およびL3~4レベルの硬膜外に膿瘍が認められたため, 抗生物質 (ピペラシリン3g/日) の静脈内投与を開始した. 腸腰筋膿瘍に対しては, CTガイド下にドレナージを施行し, 術後6日間のドレーン内洗浄を行った. その後, 膿瘍は消失し, 30日後のMRIでは炎症所見を残すのみとなった. 増強した下肢疼痛症状はドレナージ後から改善傾向を示した. 血液検査上CRP13.2mg/dlから0.4mg/dlと炎症所見も改善したため, 抗生物質を経口投与に切り替え, 第40病日に退院となった. 硬膜外ブロック療法中に硬膜外および腸腰筋膿瘍を発症した1症例を経験した.
  • 長谷川 和彦, 畠山 登, 朝日 丈尚, 大江 公晴, 山崎 光章
    2006 年 13 巻 2 号 p. 136-141
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    異なる部位に複合性局所疼痛症候群 (complex regional pain syndrome: CRPS) が発生し, その治療の過程で精神症状が顕著となり, 電気けいれん療法 (ECT) を導入した症例を報告する. 患者は34歳男性で右膝の手術後, 右下肢のCRPS type Iとなった. 腰部交感神経ブロック等の治療によりいったんは軽快したが, 2ヵ月後に再燃を認めた. この頃から, 抑うつ症状, 興奮などの精神症状が顕著となり, 神経精神科による薬物治療が加わった. さらに同時期, 左手の化膿性腱鞘炎が発生し切開排膿術が施行されたが, 術後非常に強い疼痛を訴え, 症状から同じくCRPS type Iと診断された. これに対し星状神経節ブロックや薬物療法を初めとするさまざまな治療が施行されたが効果がみられず, ECTを施行したところ, 上肢, 下肢ともに視覚的アナログ疼痛スケールスコアの低下および日常生活活動の改善を認め, 約4週間に一度の維持ECTにて社会復帰を果たしている.
  • 2006 年 13 巻 2 号 p. 142-145
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 13 巻 2 号 p. X-XII
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
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