2007 年 14 巻 4 号 p. 401-405
帯状疱疹後神経痛患者では, 疼痛の程度に心理的要因が関与していると言われるが, 精神・心理的側面を詳細に検討した研究は少ない. 方法: 帯状疱疹後神経痛患者30名にコーネル・メディカル・インデックス健康調査 (CMI), 顕在性不安検査 (MAS), 自己評価式抑うつ尺度 (SDS), 矢田部・ギルフォード性格検査 (YG) を施行し, 対照の健康な若年者 (30名) あるいは健康な高齢者 (30名) と比較した. 結果: CMIでは, 43%の帯状疱疹後神経痛患者が暫定的に神経症あるいは神経症と判定され, 特定の精神的項目では「易怒性」と「希望がない」が多くみられた. MASでは, 24%の帯状疱疹後神経痛患者が「不安あり」あるいは「高度の不安」と判定されたが, 若年者あるいは高齢者と比べて有意の違いはなかった. SDSスコアは, 帯状疱疹後神経痛患者が43±7, 若年者が31±6, 高齢者が34±9で, 帯状疱疹後神経痛患者が有意に高く, 抑うつ傾向と判定された. YGでは, 帯状疱疹後神経痛患者に特有の性格特性はなかった. 結論: 帯状疱疹後神経痛患者は神経症的で, 特定の精神的項目では「易怒性」と「希望がない」が多くみられ, 抑うつ傾向であった.