日本ペインクリニック学会誌
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持続硬膜外ブロック中に硬膜外腔感染をきたした1例
橋本 龍也中谷 俊彦橋本 愛串崎 浩行葛西 麻由越川 桂齊藤 洋司
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2007 年 14 巻 4 号 p. 414-417

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抄録
全身状態が良好な腰椎椎間板ヘルニア患者に対する持続硬膜外ブロック治療中に, 硬膜外カテーテル刺入部 (L5/S1) の消毒を毎日行っていたにもかかわらず, 硬膜外腔感染をきたした1例を経験した. 症例は50歳代男性で, 糖尿病や細菌感染の既往はなかった. 硬膜外カテーテル留置の12日目に, 発熱と硬膜外カテーテル刺入部の痛みが生じた. 翌日硬膜外カテーテルを抜去したが, その後髄膜刺激症状および炎症反応がみられた. 緊急MRI検査で, L5レベルの硬膜外腔に炎症巣と思われる病変が指摘された. 抗生剤投与により髄膜刺激症状, 炎症反応とも改善し, 後遺症を生じることなく治癒した. 硬膜外カテーテル先端の培養で, 表皮ブドウ球菌が検出された. 退院1カ月後のMRI検査で, 病変は消失していた. 硬膜外カテーテルを留置している際には, 全身状態が良好な患者でも常に感染の危険性を念頭において管理することが重要であると思われた.
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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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