抄録
WHO方式癌疼痛治療法により疼痛管理中の患者, あるいは神経ブロックにより一時的に鎮痛を得たが, 経過中, 癌の骨転移, あるいは神経圧迫が原因で疼痛が増強したと考えられた癌疼痛患者33例に対してプレドニゾロンを投与し, その鎮痛効果について検討した. WHO方式癌疼痛治療法で治療中の患者では鎮痛薬の投与量を変更せず, また神経ブロック後の患者では, 改めて鎮痛薬の投与を行なわずプレドニゾロンを30-20-10mgと9日間漸減的に経口投与した. その結果, visual analogue pain scale (VAS) は7.0 (中央値) から2.0 (中央値) に減少した. また, リン酸コデインとアセトアミノフェンにプレドニゾロンを併用した例に著効例が多かった. 明らかな副作用を認めなかった. 以上より, ステロイドは癌の骨転移, 神経圧迫に起因する疼痛の場合には, 弱オピオイド鎮痛薬との併用でも奏効する例が多く, 早い段階での投与が患者の quality of life (QOL) を高めることができると考えられた.