日本ペインクリニック学会誌
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上頸神経節, 中頸神経節, 星状神経節に投射する感覚神経に関する実験的研究
WGA-HRPの逆行性軸索輸送法を用いた研究
平川 奈緒美平川 英典森本 正敏原野 清十時 忠秀
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1996 年 3 巻 1 号 p. 22-28

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抄録

イヌの上頸神経節 (SCG), 中頸神経節 (MCG), 星状神経節 (SG) の頸部交感神経内に投射する感覚神経の存在を, WGA-HRPの逆行性軸索内輸送法を用いて確認した. 生後2~3ヵ月の仔イヌを用い, 一側の各神経節に2%WGA-HRPを5μlずつ注入した. 灌流固定後, 脊髄神経節 (DRG) を摘出し, 凍結連続切片を作製した. 組織化学処理および中性赤で重染色した後, 光学顕微鏡にて標識細胞数を数えた.
SCG注入例ではC1, C2のDRGに, MCG注入例ではC6, C7およびTh2からTh4のDRGに, SG注入例ではC7とTh2からTh4のDRGに多数の標識細胞が分布していた. SCG, SG注入例では同側性優位が認められたが, MCG注入例では同側性ではあるが, より両側性支配が強かった. 交感神経節後細胞に投射する感覚神経は, 交感神経機能の調節への関与および痛みという現象に関与していると推測される.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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