日本ペインクリニック学会誌
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腹腔鏡下胆嚢摘出術の麻酔法と術後鎮痛法の検討
赤司 和彦松永 万鶴子比嘉 和夫後藤 廣人檀健 二郎
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1996 年 3 巻 4 号 p. 421-426

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抄録

腹腔鏡下胆嚢摘出術後痛に対する術中の麻酔と術後鎮痛法を検討した. 対象は予定手術患者35名で, 11名は全身麻酔併用硬膜外麻酔で管理し, 術直後の0.5%ブビバカイン5mlとブプレノルフィン3μg/kgの硬膜外単回投与を行なった (E群). 残りの24名はイソフルランによる全麻 (GB群: n=12) または全麻併用硬膜外麻酔 (EB群: n=12) を交互に行ない, 手術終了直後に0.5%ブビバカイン5mlとブプレノルフィン3μg/kgを単回硬膜外投与した後ブプレノルフィンの連続硬膜外注入 (12μg/時間, 24時間) を行なった. ペインスコア (Visual Analogue Scale), 追加鎮痛薬 (インドメサシン50mg直腸内またはペンタゾシン15mg筋肉内投与) の使用回数より鎮痛効果を検討した.
E群の安静時のVAS (mm) の中央値 (範囲) は, 24時間後8 (0-51), 48時間後7 (0-31), 72時間後5 (0-25) であり, 術後追加鎮痛薬を使用した症例は10例 (91%) であった. GB群とEB群の安静時のVASはそれぞれ24時間後6 (0-19) と0 (0-0), 48時間後は0 (0-21) と0 (0-0) で, EB群がGB群より有意に低い (p<0.01, Wilcoxon のU検定) が, 72時間後は両群とも0(0-0)であった. 体動時のVASは両群間に差はなかった. 追加鎮痛薬使用症例はGB群9例 (75%), EB群1例 (8%) で, EB群が有意に少なかった (p<0.001, χ2検定) が, その8割以上は術後24時間以内に投与されていた. 以上より術後24時間のブプレノルフィンの連続硬膜外注入は術後72時間の術後痛を軽減するが, 術中に硬膜外麻酔を併用すればより効果的な術後痛管理が可能となる.

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