日本ペインクリニック学会誌
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くも膜下鎮痛法の併用により緩和的放射線治療が可能となった2症例
太田 孝一樽見 葉子渡辺 明彦並木 昭義
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1996 年 3 巻 4 号 p. 434-437

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抄録

骨転移腫瘍の脊髄神経への圧迫浸潤による腰下肢痛に対して, 通常のオピオイドなどによる疼痛管理が不十分な場合, あるいは, 不全麻痺による歩行障害が出現した場合, 緩和的放射線治療が適応となる. しかし, 緩和的放射線治療を行なう際, 病室からの移動時に出現する激痛のため, 治療に難渋することがある. このような症例では, 硬膜外鎮痛法が併用されるが, 腫瘍による硬膜外腔への圧迫により効果が得られなくなる症例があるため, 鎮痛効果が一定しない. 今回, 骨転移腫瘍による強度の腰下肢痛により, 緩和的放射線治療が困難な症例に対して, くも膜下オピオイド鎮痛法を行なったところ, 緩和的放射線治療が可能となった2症例を経験した.
終末期癌性疼痛管理として重要な位置を占める緩和的放射線治療時における, くも膜下オピオイド鎮痛法の適応について, 若干の考察を加え報告した.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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