日本ペインクリニック学会誌
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Neurometer を用いた慢性疼痛患者の定量的選択的末梢神経機能評価
前田 真由美佐倉 伸一斉藤 洋司内田 博田中 章生小坂 義弘
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キーワード: 定量的末梢神経検査
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1997 年 4 巻 2 号 p. 113-119

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抄録

目的: Neurometer は, 簡便かつ非侵襲的な定量的神経選択性末梢神経機能測定装置として, 近年開発された可変電流正弦波刺激装置である. 今回われわれは, 末梢神経損傷が原因で慢性疼痛を有する患者を対象とし, ペインクリニックでAβ, Aδ, C線維の3種類の末梢神経機能を定量的に測定評価することの可能性と意義を検討した. 方法: Sympathetically maintained pain を有する3名のペインクリニック受診患者に対し, 異なった部位で, 5, 250, 2,000Hzの正弦波電流刺激を行ない, それに対する知覚閾値(CPT)と中等度の疼痛を誘発する電流量(MPS)を静脈内局所交感神経ブロック(IRSB)前後で測定し, かつ患者のそのときの自覚症状と比較検討した. 結果: Neurometerで得られたデータと患者の主観的な訴えは良い相関を示し, IRSB前後でCPTとMPSの二つの値が変化した場合には, 患者の主観的な疼痛知覚の程度も同様の変化を示していた. 結論: Neurometer は, sympathetically maintained pain を有する患者の末梢神経機能を簡便にかつ包括的に評価する方法として適しており, 今後ペインクリニックにおいての幅広い利用と有用性が期待できる.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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