日本ペインクリニック学会誌
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変形性膝関節症に対する鍼・低出力レーザー併用治療の臨床的検討
谷岡 富美男後藤 康之
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1997 年 4 巻 4 号 p. 472-475

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抄録

目的: 変形性膝関節症は中年以降に多く発症し, 特に高齢者では痛みによる歩行障害のためQOLを著しく低下させる. 今回著者らは変形性膝関節症患者で, 鍼と低出力レーザー併用治療の効果をより詳細に検討するため, スコアを用いて検討した. 対象と方法: 変形性膝関節症患者63人の87膝をX線所見の重症度から Grade 1: 38膝, Grade 2: 41膝, Grade 3: 5膝, Grade 4: 3膝に分類し, 鍼とレーザーの併用治療を行なった. 治療効果は日本整形外科学会膝疾患治療成績判定基準により, 初診時からの症状改善度をスコア化して検討した. また安静時痛, 夜間痛, 起立時痛などの自覚症状の改善もあわせて検討した. 結果: 低周波鍼通電(10分)と低出力レーザー照射 (2~3分) による15回の治療は, 関節軟骨の摩耗が比較的軽い Grade 1や Grade 2では歩行時や階段昇降時の膝関節痛, 関節可動域, 関節腫脹, 自覚症状の有意な改善がみられた. しかし摩耗の進んだGrade 3と Grade 4の合計8膝では有意な変化を認めなかった. 結論: 変形性膝関節症患者の鍼・レーザー併用療法は, 治療成績判定スコアによる評価で, Grade 1と Grade 2の初期・中期OAで有意な有効性が認められた. しかし, より重症例では他の治療法の併用も考慮すべきである.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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