抄録
症例は47歳, 男性. 左脛骨高原骨折後, 左下肢反射性交感神経萎縮症となった. 治療目的で, 側腰部交感神経節 (L2, L3) アルコールブロックを1年の間隔をあけて2回施行した. 1回目のブロック後両下肢に, 2回目のブロック後は頸部以下の全身に無汗症が発症した. 無汗以外に神経学的異常所見を認めず, acetylcholine などによる局所の発汗誘発検査でも発汗が認められなかった. 交感神経節ブロックの直接的な影響は否定できないが, 特発性全身性無汗症がブロックで顕在化したことも考え, 副腎皮質ホルモンを用いた治療を開始したが, 無効であった.