日本ペインクリニック学会誌
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胸部神経根ブロック時にフェノールにより呼吸停止と不整脈を起こした1症例
玉川 進小川 秀道的場 光昭
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1998 年 5 巻 2 号 p. 145-147

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抄録

胸部神経根ブロック時にフェノールにより呼吸停止を起こした1症例を報告する. 74歳, 男性.左肺癌による左胸部痛のため, 胸部神経根ブロックが行なわれた. 神経根へ10%フェノール水を注入しはじめた直後, 患者はうめき, 意識を失った. 呼吸は停止し, 血圧は190mmHgまで上昇するとともに心室性期外収縮が多発した. 人工呼吸とリドカイン静注により呼吸は2分後に, 意識は10分後に回復した. 後遺症はなかった. 本症例にみられたフェノール投与後の反応は血管内注入によるものと考えられる. 頻回の透視下確認によってフェノールの血管内誤入を避けること, 万一中毒が発生した場合には迅速に対処することが必要である.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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