日本ペインクリニック学会誌
Online ISSN : 1884-1791
Print ISSN : 1340-4903
ISSN-L : 1340-4903
交感神経ブロックが運動障害に対して有効であった外傷性頸部症候群の2例
浅野 斗志男太田 宗一郎飯田 宏樹竹田 智雄土肥 修司
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 5 巻 2 号 p. 148-152

詳細
抄録
われわれは, 外傷性頸部症候群に伴う運動障害が交感神経ブロックによって一時的ではあったが著明に回復した2症例を経験した. 患者は65歳と34歳の男性で, それぞれ1年あるいは4カ月前に頸部に外傷を受けた後に, 握力の低下と手指の巧緻運動障害および軽度の痙痛を訴えて来院した. 他覚所見では患側上肢の触覚低下, 皮膚温の低下, 軽度の筋萎縮および膝蓋腱反射の亢進がみられた. 2症例ともCTとMRI画像上, 頸髄レベルで脊髄の圧迫がみられたが, 手術適応はないと判断された. 筋力低下や巧緻運動障害は理学療法や牽引療法では改善せず, 局所麻酔薬による星状神経節ブロックと胸部交感神経節アルコールブロックにより一時的ではあったが著明に回復した, 外傷性頸部症候群において, 機序は不明であるが, 交感神経系は骨格筋の運動機能に一部関与すると思われた.
著者関連情報
© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top