日本ペインクリニック学会誌
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慢性痛患者への薬物療法
長櫓 巧安部 俊吾
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1999 年 6 巻 2 号 p. 65-69

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抄録

慢性痛は, 組織障害, 神経障害, 神経機能障害, 心因性機序などの異なった原因により起こるが, 多くの例では侵害受容系の活動が亢進し, 中枢への入力が増加している状態または増加しやすい状態にある. 侵害受容系には, シナプスでの伝達を促進および抑制するシステムが存在している. 慢性痛には抗うつ薬, 抗痙攣薬, 局所麻酔薬 (全身投与), 抗不安薬, 抗精神病薬, 麻薬, NMDA受容体拮抗薬が使用されているが, これらの薬物は侵害受容系の神経伝導またはシナプス伝達を抑制し侵害受容系の異常活動を抑制することにより, 鎮痛効果を発揮する. 薬物治療は, 今後薬の併用療法および新しい薬の開発により, 慢性痛の最も有力な治療法になると思われる.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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