日本ペインクリニック学会誌
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急激な気圧の変化により一過性のメニエール病様の症状で出現した脊麻後頭痛
明星 康裕遠山 一喜
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1999 年 6 巻 4 号 p. 373-376

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抄録

脊麻後頭痛がいったん寛解した後, 急激な気圧変化により一過性のメニエール病類似症状を出現した症例を経験した. 症例は26歳の男性で, 脊椎麻酔下で急性虫垂炎の手術を受けた. 術後脊麻後頭痛が出現したが, 解熱鎮痛薬の内服および安静にて症状が消失したので退院した. 術後12日目で, 高地 (海抜2,500m以上) まで自動車にて日帰り旅行をした. その夜より耳鳴・眩暈が出現し, 次第に頭痛も出現した. 脳脊髄低圧症候群, 両側の急性低音域の聴力障害, 回転性の眩暈と耳鳴などメニエール病と酷似している症状であった. 7日間の内服と点滴治療を施行後症状は軽快した. 脳脊髄液の漏出による潜在的な脳脊髄液腔の圧低下に, 急激な気圧の変動が加わり, 外リンパ腔と内リンパ腔の圧の差により, メニエール病様の症状が出現したと考えられた. また, 長時間の座位姿勢と旅行による精神的ストレスが症状を増悪させたことも考えられる.

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