日本ペインクリニック学会誌
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上腹部手術における硬膜外フェンタニルによる術後鎮痛
0.2%ブピバカイン添加と用量の影響
村尾 浩平田中 道子坂田 和房田口 仁士新宮 興
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2000 年 7 巻 1 号 p. 36-40

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抄録

目的: 硬膜外フェンタニルにブピバカインを添加する意義および投与用量の違いが上腹部手術の術後鎮痛に及ぼす影響について検討した. 方法: 予定上腹部手術患者58名を対象とし前向き調査を行なった. 亜酸化窒素-酸素-セボフルラン吸入および硬膜外腔へ局所麻酔薬を投与し麻酔を維持した. 手術終了後, 硬膜外腔にフェンタニル50μgを単回投与した後, フェンタニルを硬膜外腔へ20μg/時で50時間持続投与し鎮痛効果, 副作用を調査した. 投与方法は0.2%ブビバカインを溶媒とし2ml/時で投与した群 (B群), 生理食塩液を溶媒とし2ml/時で投与した群 (S2群), および生理食塩液を溶媒とし0.5ml/時で投与した群 (S0.5群) の3群に分けた. 結果: B群とS2群では鎮痛効果および鎮痛薬投与回数に有意な違いを認めなかった. S0.5群ではB群およびS2群に対し鎮痛効果が有意に劣った. いずれの群でも重篤な血圧低下および呼吸抑制は生じなかった. しかし, 悪心はS2群で37%と最も多く, B群で22%, S0.5群で10%であった. 結論: 上腹部手術において硬膜外フェンタニル20μg/時で術後鎮痛を行なった場合, 0.2%ブピバカイン添加により鎮痛効果は増強しなかった. 硬膜外フェンタニル単独持続投与の場合, 2ml/時による投与が0.5ml/時による投与よりも鎮痛効果が優れていた.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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