日本ペインクリニック学会誌
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交通外傷後に上肢CRPS type I を呈した外傷性頸部症候群の1例
永尾 勝奥田 圭子濱口 眞輔見塩 六生奥田 泰久北島 敏光
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2001 年 8 巻 2 号 p. 103-106

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抄録

交通外傷後の complex regional pain syndrome (CRPS) type Iは, 通常頸部に激しい外傷が加わった場合に発症するが, われわれはMRIで交通外傷によると思われる異常所見がないにもかかわらず, 左上肢のCRPS type Iを呈した症例を経験したので報告する. 症例は48歳, 男性. 2年前に交通事故に遭い, 近医にて外傷性頸部症候群の診断で薬物療法と理学療法を受けたが症状の改善が得られないために, 当科を紹介され受診した. 左上肢の灼熱痛, 浮腫, 痛覚過敏, アロディニア, 冷感, チアノーゼを認め, Gibbons scoreからCRPS type I (RSD) と診断した. 20回の星状神経節ブロックにより疼痛は半減し, 社会復帰が可能となった. 本症例ではMRIで外傷を示す所見はなかったが, 交通外傷時に頸部の屈曲, 過伸展, 軸捻転などによって下頸部交感神経遠心性線維が伸張, 不完全断裂を起こし, CRPSを発症したものと推察した.

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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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