日本ペインクリニック学会誌
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ネオビタカイン®による偶発的クモ膜下ブロックの2症例
佐藤 博臣篠崎 未緒北島 敏光斉藤 有樹小林 俊哉
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2002 年 9 巻 1 号 p. 24-26

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抄録

ネオビタカイン®を用いた腰部硬膜外ブロックでクモ膜下投与となった2症例を経験した. 両症例とも腰椎椎間板ヘルニアに対して0.5%メピバカインによる腰部硬膜外ブロックを行っていた. 効果持続時間の延長を期待してネオビタカイン®を硬膜外投与したところ, クモ膜下投与となった. 1症例はTh10以下, 他例はTh9以下の知覚・運動麻痺を生じ, 尿道カテーテルの留置が必要だった. いずれも帰宅まで要した時間は8~9時間であった. ネオビタカイン®は0.1%ジブカインに0.3%サリチル酸ナトリウムと0.2%臭化カルシウムを配合したものである. 通常の0.3%ジブカインを用いた脊椎麻酔でもこのような長時間のブロックは起こらない. 長時間の麻痺を生じた原因として, サリチル酸ナトリウムおよび臭化カルシウムによる血管収縮作用, 3種配合による高pHによってジブカインの遊離塩基濃度が上昇し, 組織・神経線維への浸透性が高まったこと, サリチル酸ナトリウム自体の神経伝導ブロック作用などが考えられた.

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