日本ペインクリニック学会誌
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片頭痛およびSUNCT症候群に対するスマトリプタンの使用経験
その有効性と問題点
下畑 敬子茂木 僚一郎下畑 享良宮下 興
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2002 年 9 巻 1 号 p. 27-31

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抄録
目的: 5-HT1B/1D受容体作動薬であるスマトリプタン注射薬 (イミグラン®) を片頭痛難治症例7例, および眼球結膜の充血と流涙を伴う, 短時間の一側性の神経痛様頭痛を呈するSUNCT症候群1例に使用し, その有効性と問題点について検討した. 方法: 片頭痛発作時にスマトリプタン3mgを皮下注射し, NSAIDsおよびエルゴタミン製剤の併用は行わなかった. 有効性の評価は問診で行い, 増悪, 変化なし, 軽減, 著効, 消失の5段階評価を行った. 副作用の出現や頭痛再発現象の有無についても検討した. 結果: 片頭痛症例の場合,「消失」1例,「著効」6例で, 効果の発現は注射後10分から30分以内に速やかに認められた. 一方, SUNCT症候群1例については効果を認めなかった. 副作用としては軽度の後頸部痛を2例で認めた. 頭痛再発現象はいずれの症例でも認めなかった. スマトリプタンを使用できた症例は全例, 30分以内に当院に通院可能な距離に住む患者に限られていた. 結論: スマトリプタンは片頭痛発作時に推奨される薬剤であると考えられるが, その反面, 適応が発作後早期に来院できる症例に限られるという制限があり, 今後, 自己注射の認可や, 他のトリプタン製剤を含めた剤型の改良 (経口・点鼻等) などについて検討が必要である.
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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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