抄録
高周波熱凝固法による脊髄後枝内側枝ブロックを低温群と高温群に分け, 鎮痛効果と鎮痛期間について比較検討した. 方法: 高周波熱凝固法による脊髄後枝内側枝ブロックを行った124例を, 低温群 (45~50℃, 60秒) と高温群 (60~65℃, 60秒) に各62例ずつ無作為に分けた. ブロック後12カ月間, 1カ月ごとに鎮痛効果を定期的に評価した. 統計学的処理は, Mann-Whitney U 検定で行った. 結果: ブロック後は, 全例, 臨床的に有効な鎮痛効果を得た. 平均鎮痛期間 (平均値±SD)は, 低温群6.7±4.0カ月, 高温群7.5±3.6カ月で両群間に差はなかった. 12カ月以上有効であった症例は, 低温群, 高温群それぞれ17例 (27%), 12例 (19%) であった. 結論: 高温 (60~65℃) と比較して, 低温 (45~50℃) 脊髄後枝内側枝ブロックは, その鎮痛効果, 鎮痛期間とも遜色がなく, 患者への侵襲も少ないため, 高温高周波熱凝固に変わりうる方法である.