日本ペインクリニック学会誌
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モルヒネ投与中の末期癌患者における末梢血リンパ球分画の検討
小原 健高橋 雅彦山中 啓之山本 庸子中保 利通
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2002 年 9 巻 4 号 p. 414-417

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抄録
目的: WHO方式の癌疼痛治療法において, 中等度以上の痛みに用いられる鎮痛薬の基本薬は, モルヒネである. モルヒネが細胞性免疫を抑制する可能性があるという報告は多い. しかし, 末期癌患者を対象としてモルヒネの免疫機能に及ぼす影響を調べたものは少ない. 今回われわれは末期癌患者におけるモルヒネ使用の有無と, その患者の免疫機能との関係を調べた. 方法: 2001年1月から5月までに当院緩和医療部に入院中のすべての癌終末期患者のうち, 同意の得られた患者を対象とした. 生化学データの測定は標準的測定法にて行い, リンパ球分画の測定はフローサイトメトリー法にて行った. 結果: 対象は61名で, うち37名がモルヒネを投与されていた, CRP (投与群9.08±1.96vs. 非投与群3.24±4.16), CD3-CD56+細胞数 (117.5±156.1vs. 277.3±339.5) およびCD8+細胞数 (122.7±104.8vs. 247.0±231.0) で有意差を認めた. しかし, それらとモルヒネ血中濃度に有意な相関は認めなかった.
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© 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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