精密機械
Print ISSN : 0374-3543
液中放電成形の出力効率向上に関する研究
大森 正己井上 友一奥島 啓弍
著者情報
ジャーナル フリー

1967 年 33 巻 395 号 p. 782-787

詳細
抄録

液中放電成形に関する成形効果および出力効率について,以上の実験結果をまとめると,次のごとくなる。
(1) 投てき形出力測定によるたま出力効率は,放電溝条件に大きく左右され,間隙放電,導線放電,粉体放電ともにコンデンサ・充電エネルギに対して,最適の放電溝条件が存在する。
(2) 間隙放電,導線放電ともに充電電圧が10kVの場合よりも,30kVの場合の方が出力効率が増すが,粉体放電の場合は増加せず,逆に減少の傾向を示した.(表1参照)
(3) 投てき形出力測定において,投てき底部に拠物線反射面を設置しても,出力効率の向上はみとめられなかった。
(4) 投てき形出力測定では放電電極近辺の壁面が複雑な(A)形投てきの場合よりも,それが単純な(B)形投てきの方がたま出力効率が良好であり,したがって,放電槽形状が出力に大きく影響することがわかった。
(5) 投てき実験による出力効率は,この研究当初においては,間隙放電でη≅1%, 0.8φアルミニューム線による導線放電でη≅2.7%であったが,表1に示す最高の条件では
間隙放電……2.6%
導線放電……11.5%
粉体放電……11.0%
に達した。
(6) 試料(厚さ2mmの軟鋼板)160φダイによる成形では,電極~試料間距離が近いほど,試料の変形に有効であることがわかった。これは密閉形,開放形いずれの時も同様である。
(7) 開放形放電槽よりも密閉形放電槽の方が,試料変形に有効である。

著者関連情報
© 社団法人 精密工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top