精密機械
Print ISSN : 0374-3543
噴射加工における砥粒の破砕について
山田 至朗柳島 〓仁夫
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1967 年 33 巻 395 号 p. 795-801

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抄録

A砥粒,C砥粒,エメリおよび単結晶砥粒の4種について一定の条件のもとで乾式の噴射加工実験を行ない,砥粒噴射の実態の一部を明らかにすると共にこれら砥粒の噴射衝撃による破砕特性を比較検討した結果,次の結論をえた。
(1) ノズルからある拡がりをもって噴射される砥粒群はノズル中心線において,平均砥粒径,砥粒量,噴射速度共に大きく,ノズル中心線より離れるにしたがって共に減少する。したがって加工面あらさは中央があらく周囲に向って小さくなっている。なお噴射角度もノズル中心線から拡がるにしたがって,わずかずつ変化し,上記の面あらさの傾向を助長する。これは仕上げ面あらさの均一性について考慮を要する事実である。
(2) いずれの砥粒も,その砥粒固有のぜい(脆)弱部分あるいは砥粒を製造する過程において導入された不安定な構造にもとついて,初め4,5回の噴射衝撃による砥粒の破砕が著しく,その後砥粒は破砕の少ない安定した強度を保つ。したがって砥粒の面仕上げ能力も初め4,5回の噴射衝撃履歴によって大きく変化するので,仕上げ面あらさを問題にする場合,新たに使用する砥粒の前処理を検討しなければならない。
(3) 初め4,5回の噴射を受けた後の噴射衝撃に対する各砥粒の破砕強度は,従来行なわれてきた.ポットミル,スタンプミル,圧壊法において得られたじん(靱)性の大小とほぼ同じ傾向で,単結晶砥粒およびA砥粒の靱性が同等に大きく,C砥粒がこれにつぎ,集晶であるエメリが一番小さい。
噴射条件が異なれば砥粒の破砕の挙動は当然変化するものと考えられる。噴射条件が粒度分布曲線に与える影響については次の報告にゆずりたい。

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