精密機械
Print ISSN : 0374-3543
ホーニング加工における円筒度について
ホーニング加工に関する研究 (第3報)
研井 堅津和 秀夫
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1969 年 35 巻 419 号 p. 780-786

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抄録

以上の結果をまとめるとつぎのようになる.
(1) 砥石切込み速度が早いほど, 少量のホーニング量で最終の円筒度に到達する.
(2) モールド砥石の砥石面の形状は, テーパコーンに接する底面の形状にならって変化する.良好な円筒度をうるためには.底面は凹型でなければならない.
(3) モールド砥石の場合でもオーバトラベルが零の場合は工作面の断面形状は, たいこ状に仕上がる.
(4) モールド樹脂の長さと砥石長さは円筒度に影響するので, ツール設計上とくに注意せねばならない.
(5) 工作面の任意の一点を通過する砥粒数を理論的に検討したところ, 砥石が完全に工作物を突き出さないかぎり, 良好なる円筒度はえられないことになる.しかし, 円筒度が零になるオーバトラベルは砥石長さよりも短いのであって, ほかの要因を考えねばならない.
(6) 砥石の弾性変形は円筒度を修正する働きを有する.
(7) 円筒度の生成に関しては, つぎのように考えられる.工作物面上の砥粒通過回数の多少により生ずる円筒度のくずれを, オーバトラベルにともなう砥石接触面圧の上昇とそれによる砥石の弾性変形がカバーして向上させるのであって, この両者の程度によって円筒度は左右される.

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© 社団法人 精密工学会
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