精密機械
Print ISSN : 0374-3543
工作機械の計算機制御におけるソフトウェア
竹山 秀彦本多 庸悟
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1972 年 38 巻 444 号 p. 11-21

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抄録

計算機制御に関する問題点と将来の展望を簡単に記そう.まず第一に考えるべきはシステムの構成にあたってのシステム・デザインの問題であろう.そのためには対象の体系化が先決であり, 場合によってはそのために過半の時間と労力を費すことも覚悟せねばならないが, それは避けたり黙殺したりはできない道である.
ハードウェアとソフトウェアの融合をはかり, 有機的に関連づけてゆくことが複雑なシステムになるほど必要である.ハードはハード, ソフトはソフトでは現実離れの結果を招きかねない.
計算機の発展に伴い, 適宜ソフトウェア化ないしソフトワイアドとする傾向が強まるであろう.これはプログラムやデータの入れかえによりシステムの向上が比較的容易に果しうると考えられるからであるが, 一方ではそのような操作をバックアップするサービス・システムの完備が迫られるであろう.
現在, 計算機に行なわせている機能は末だ中枢神経のそれにはほど遠く, ルーチン的な情報伝達を行なう運動神経のそれに対応する程度であろう.これは本稿で述べたDNCなどの場合, さらには従来からのいわゆるNC自動プログラミング・システムについてもそうである.これに対して, 別稿で述べられるであろう西独のEXAPT, 東大のSTORK, 機械振興協会および機械技術研究所によるKKTSなどは一歩その枠を越えようとするもので, いわば能動プログラミング・システムと称してもよいかも知れない、このようなシステムのより直結的な利用は当然考えられるところである.
運動神経がじょじょに強化される一方では, 知覚神経, すなわち生産の場の状態をフィードバックする径路も強化されねばならない.適応制御の分野では今後ますますこの努力が続けられてゆくであろう.
製造の場の体系化が進むにつれ, そしてより高度の自動化が要求されるにつれ多量のデータによるバックアップが必要となる.データ・バンクと, 製造の場の計算機制御との有機的なつながりが論ぜられねばならないだろう.
永久に完壁なシスアムはあり得ないだろうし, まにあわせでは進歩がない.ぢみちに問題点を一つづつ解決してゆかねばならない.

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