精密機械
Print ISSN : 0374-3543
ボルト締結時の締結部結合面の静的挙動に関する理論的考察
清水 伸二伊藤 鎮福田 理一
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1983 年 49 巻 7 号 p. 842-847

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抄録

円板状単一ボルト締結体を対象として,結合面摩擦力などの結合面境界条件を導入して,有限要素法により,締結部結合面の静的挙動について解析した結果次のことが明らかとなった.
(1)締結体厚さ,ボルト頭部寸法,結合面摩擦係数の増大により,結合面の変形およびすべり変位は小さくなり,また結合面の離脱部分も小さくなり,圧力分布はより一様となる.
(2)圧力作用範囲の目安となる圧力円すい半角は,板厚に無関係にほぼ一定となり,板厚の大きいものほど,結合面摩擦係数増大の効果が大きい.
(3)ボルト頭部外径の増大に伴い,圧力作用範囲は直線的に増大するが,頭部外径の増分ほどには増大しない.
(4)結合面摩擦係数の増大に伴い,圧力作用範囲は直線的に増大する.
(5)結合面の変形は,締結体よりベースの縦弾性係数の影響をより大きく受ける.
(6)締結体の縦弾性係数の増大に伴い圧力作用範囲は直線的に増大し,ベースの場合は直線的に減少する.また,ベースの縦弾性係数が大きいほど締結体材質の影響を受けにくく,締結体の縦弾性係数の小さいほどベース材質の影響を受けにくい.

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