精密工学会誌
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知識工学への期待
諏訪 基
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1986 年 52 巻 5 号 p. 783-786

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抄録

以上,知識工学の歴史的背景,知識工学への期待ならびに研究の動向を概観した.知識工学は人工知能の応用ということでいろいろな技術分野から関心が寄せられており,一層情報処理技術の適用範囲が広がろうとしていることは大変結構なことと言わなけれぽならない.なぜなら,情報技術は典型的な実験科学であり,従ってその技術水準を高たるたたには数多くの実験が必要だからである.
知識工学が提唱する,知識ベースを中心に据えたソフトウェアの構築技法は,ソフトウェア環境を高度化する上で多くの利点を含んでいる.その最大の利点は柔軟性であり,その結果,生産システムにおけるソフトウェア開発でもさまざまな実験を試みることができるはずである.その実験を通して,ソフトウェア環境並びにソフトウェアそのものの高度化が達成される.しかしながら,実際的な問題を扱うにつれ,今までの人工知能の成果を借りて来るだけでは対応できない問題が次々とでてきている.その一例は,知識獲得や学習の問題,あいまいさを含む推論,あるいは,人間の思考を支援するたたに必要な認知モデルなどである.このような人工知能の基礎に関する研究が今後一層重要な使命を帯びて来ると考えられる.

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