精密工学会誌
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CAD/CAM/CAEはどのように役にたったか,今後の方向は
間瀬 俊明
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1994 年 60 巻 4 号 p. 477-482

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抄録

企業の現場では,CAD/CAMに対する課題を解決するとまた新たな課題が現れるということを繰り返し現在のレベルに至った.その意味で今後もいくらでも課題はあるといってよい.少なくとも筆者の経験では,今までこういったことについて学会と産業界が真剣に議論することはほとんどなかった.その意味で今回の特集はその場の一つとして有意義ではないかと思う.設計理論やCADは形だけの産学共同では真の問題の発掘や解決ができない分野であると思う.更に相互の理解を深めるため徹底した議論葛藤,対決を通して新たな共通理解と具体的な共同研究や開発の実現を期待したい.
残念ながら今までは各企業での専用の優れたCAD/CAMシステムはあるが,世界に通用するCADのソフトウェアが日本から生み出されるということはなかった.日本のソフトウェア技術は遅れているといわれるが,せめてCADの分野でも学会と産業界が一体となり(例えば大規模なプロジェクトを作ってでも)世界をリードする新しい実用ソフトを日本から産み出したいというのが長年この分野の開発に携わった筆者の切なる願いである.

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