精密工学会誌
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原子間力顕微鏡を用いたけい酸エステルとオゾンの化学気相堆積プロセスの分析
杉原 和佳酒井 明赤間 善昭松田 哲朗豊崎 正男田中 国義松浦 彰塚田 志郎徳本 洋志
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1994 年 60 巻 7 号 p. 974-978

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抄録

カンチレバーとレーザビームとの位置合わせが容易な光てこ方式のAFMと各種の表面分析装置とを用いてTEOSとO3とを用いたCVDプロセスを分析評価した.得られた結果を以下にまとめる.
(1)カンチレバーの投影像を利用することによって,カンチレバーとレーザビームとの位置合わせは,光学顕微鏡を使うことなしに容易かつ短時間に実行されることが上記の実験を通して確認された.
(2)TEOSとO3のCVDプロセスの分析実験では,堆積膜形成後に大気中の水分が膜に存在する小孔を通って膜の深部まで浸透し膜中のOH基と結合することが確認された.
(3)真空アニールを川いた膜の緻密化によって膜中の小孔をふさいでやることで水分放出を低下させることができる.しかしながら,膜からの水分放出を完全に抑制するためには,OH基を排除して緻密な膜堆積を行うことのできる新しいTEOS/O3CVDプロセスの構築が必要となろう.

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