高硬度鋼を, おもに高速度工具鋼ドリルを用いて高圧内部給油によるドリル加工を行い, ドリルの損傷の面からその有効性を検討し, 以下の結論を得た.
(1) 送り量が小さいと高圧内部給油の方が逃げ面摩耗が大きいことがある.
(2) 被削材の硬さが高いほど, 送り量が小さい領域でも高圧内部給油が有利になる.
(3) 外部給油の場合は高速, 高送り域で工具材の高温硬さが急速に低下する温度領域になり, ドリルの摩耗が急速に進行し寿命になる.
(4) (3) の領域では高圧内部給油が明らかに有利になる.
(5) 内部給油の場合, HV520程度まで上記の限界温度以下であれば, 逃げ面摩耗が大きいが安定に穴あけできる.
(6) 被削材の硬さが低く, 送り量が低い領域では構成刃先の発生のために外部給油の方が逃げ面摩耗が少ない.