学校心理学研究
Online ISSN : 2432-2865
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原著論文
特別支援学校の「センター的機能型コンサルテーション」についての考察―複線径路・等至性モデリングTEM図を活用したコンサルテーション事例の分析から―
大山 卓金井 篤子
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2018 年 18 巻 1 号 p. 15-28

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抄録

本稿は特別支援学校のセンター的機能として実施した小学校特別支援学級担任へのコンサルテーション事例について,複線径路・等至性モデリングTEM図をもとに分析・考察した。解決には至らなかった事例を取り上げ,有効な介入と課題を分析することにより特別支援学校のコンサルテーションの効用とその限界について論じた。特別支援学校のコンサルテーションの効用としては,特別支援教育の専門性を備えた特別支援学校の教員が授業場面に着目して行う相談であること,また限界は特別支援学校の教員として,自校の授業と兼任で行う相談構造のため緊急支援など積極的な介入が難しいシステム的な問題を明確化した。本事例で明らかになった有効なサポートと課題,また特別支援学校のコンサルテーションの効用と限界を踏まえ,心理職など他の専門職が行うコンサルテーションとは異なる視点で行う特別支援学校のコンサルテーションを「センター的機能型コンサルテーション」と名付け,その有効なサポートの特徴について,①授業場面を通した相談,②専門的立場からの継続的支援,③コンサルティへの心理的支援,④学校機能全体への介入,の4つを明確化した。またTEM図を使った相談事例の分析効果も明らかになった。今後の課題として,特別支援学校のセンター的機能担当者の資質向上のための研修の体系化をあげた。

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© 2018 日本学校心理学会
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