本研究の目的は,障害のある児童生徒と障害のない児童生徒それぞれにとって,インクルーシブ教育がどの程度有益であるかについての一般教諭の認識を検討することにある。加えて,いかなる心理的・社会的要因が教諭による有益さの認識と関連するのかについても明らかにする。これらの目的をかなえるため,学級担任をしている小学校ないし中学校の一般教諭92名を対象とする調査を実施した。その結果,インクルーシブ教育よりも分離教育の有益さが高く認識されていること,そして教諭の被援助志向性や学校組織の同僚的な風土などが有益さの認識と関連することが示唆された。