本研究では，中学生と高校生を対象に，利益・コストの予期をはじめとする諸変数と友人への援助要請意図および他者全般への援助要請意図との関連を検討した。分析にはオンライン調査に参加した439名（中学生220名，高校生219名）の回答を用いた。多母集団同時分析の結果，中学生と高校生で援助要請意図に対する各変数の関連を等しいと仮定する等値制約を設定したモデルが採択された。援助要請意図に対しては，相談相手の存在，悩みの経験，援助要請実行における利益の予期が，援助要請意図に対して正の関連を示した。援助要請意図に対する諸変数の関連は，中学生と高校生あるいは友人への援助要請意図と他者全般への援助要請意図との間で概ね同様であることが示された。
