本研究の目的は感情調整,援助要請スキルと援助要請の過剰性の関連を検討することである。中学生338名,大学生219名を対象に質問紙調査を実施した。中学生のデータの階層的重回帰分析の結果,感情調整は援助要請スタイルの過剰型と負,自立型と正の標準偏回帰係数が得られた。援助要請スキルは過剰型と自立型と正,回避型と負の標準偏回帰係数が得られた。大学生のデータの分析では,感情調整は過剰型と負,回避型と正の標準偏回帰係数が認められ,援助要請スキルは過剰型と正,回避型と負の標準偏回帰係数が見られた。自立型との間には交互作用項が有意であり,単純傾斜分析の結果,援助要請スキルが低い時には感情調整と自立型の間に有意な正の単純傾斜が見られた。本研究の結果より,感情調整と援助要請のプロセスについてと,援助要請スキルへの介入を行う際に感情調整能力への介入も行う必要性について議論された。