静脈経腸栄養
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原著
炎症性腸疾患患者のQuality of Lifeと食事に関する問題
―潰瘍性大腸炎とクローン病との比較―
富田 真佐子高添 正和近藤 健司福田 能啓矢吹 浩子片岡 優実
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2005 年 20 巻 2 号 p. 2_57-2_65

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抄録
炎症性腸疾患 (潰瘍性大腸炎とクローン病) 患者の多くが食事療法や栄養療法をおこなっているが、それに伴う心理社会的問題はQOLに影響していると予測される。そこで、質問紙法によって炎症性腸疾患患者のQOL、栄養や食生活に関する問題、およびそれらの関係について明らかにすることを目的に研究を行なった。対象者は潰瘍性大腸炎262名、クローン病453名、計715名である。SF-36の平均値は特に「全体的健康感」と「日常役割機能 (身体)」、「社会生活機能」が低かった。生活満足度は、男性クローン病患者で低かった。クローン病では潰瘍性大腸炎よりも脂肪や食物繊維、肉類を制限している割合が高く、81%が経腸栄養法を施行していたが、低体重者 (BMI≦18.5) の割合は高かった。食事制限が影響する諸問題は、クローン病の方が多かったが、QOLとの相関はむしろ潰瘍性大腸炎の方が高かった。両疾患とも食事に関することはQOLに影響しており、栄養に関するセルフケアヘの援助や精神的なサポートがQOLを高める上での重要なポイントとなることが示唆された。
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© 2005 日本静脈経腸栄養学会
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