静脈経腸栄養
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20 巻, 2 号
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特集 : 慢性疾患に対する病態別栄養管理
  • 蛇沼 俊枝, 藤村 悦子, 中田 啓二, 梶 由依子, 佐野 渉, 田代 亜彦
    2005 年 20 巻 2 号 p. 2_3-2_8
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/12/27
    ジャーナル フリー
    栄養管理の重要性が認識され、高カロリー輸液やPEGが普及し、栄養改善に効果を上げている。消化管を利用したPEGなどの経腸栄養は生理的ではあるが、可能であれば経口摂取が最も望ましい。経口摂取は栄養補給だけでなく、食べることの喜びも同時に享受できる。入院中の高齢者はさまざまな疾患を併せ持ち、食欲や嚥下、咀嚼などの問題を抱えることもあり食事の摂取量が十分でないことが多い。さらに、食習慣や生活習慣も異なるため効果的な食事の提供は十分に患者を把握した上で可能となる。そのため、個人対応の栄養管理が必要になる。
  • 野村 秀明, 安田 健司, 十川 佳史, 酒井 健一, 林 栄一, 藤原 英利, 野口 佳奈子, 岩本 恵, 丸山 範子, 内田 英子, 西 ...
    2005 年 20 巻 2 号 p. 2_9-2_14
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/12/27
    ジャーナル フリー
    高齢化社会の到来に伴い、わが国でも療養型医療施設が急速に増加しつつある。これらの施設で長期療養をうける高齢者にとって、医療の基本である栄養管理の重要性は論を待たない。特に療養型施設収容の高齢者には自力で経口からの摂食が不可能である者が多く、これらの患者の栄養管理には、経鼻胃管、胃瘻 (外科的胃瘻、経皮内視鏡的胃瘻) などのアクセスルートを介した経腸栄養が選択される。しかし、高齢者患者は、身体的障害程度や併存疾患の有無によって病態には個人差が大きく、個々の患者に応じた栄養評価に基づいて、ルートの選択、維持・管理、さらに投与する栄養剤の素材や量など細やかな栄養管理を行うことが必要である。
  • 城谷 典保, 亀岡 信悟
    2005 年 20 巻 2 号 p. 2_15-2_20
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/12/27
    ジャーナル フリー
    癌末期の栄養管理の適応は、経口から少量の水分や流動食の摂取が可能な状態で、かつ2~3ヶ月以上ADLが維持される時期である。消化器癌患者では消化管の消化吸収障害や通過障害を呈する場合は、経腸栄養より静脈栄養、なかでも在宅中心静脈栄養 (HPN) の良い適応となる。このような状況を考えると、栄養管理は身体的な状況をふくめ症状緩和に移行する以前に行うことが望ましい。その時期であれば、投与エネルギー量として一般的に15-20kcal/kg/day程度、水分量として1kcal/1ml/kg/dayを目安に栄養管理を行うことは臨床的に意義がある。症状緩和を重点的に行う予後1ヶ月以内の終末期は、正常時の必要水分量の1/4~1/2程度 (一日500mL~1,000mL) の水分・電解質管理を行うことが良好な緩和ケアにつながる。
  • 永木 正仁, 福島 秀樹, 田近 正洋, 白木 亮, 森脇 久隆
    2005 年 20 巻 2 号 p. 2_21-2_25
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/12/27
    ジャーナル フリー
    慢性肝不全患者は、蛋白質・エネルギー低栄養状態 (PEM) にある。RQが低下した症例にはエネルギー投与を、血清アルブミン値が低値を示す症例には経口BCAA補充投与が有効である。夜間から早朝の飢餓状態を回避する目的で就寝前エネルギー投与 (LES) が推奨される。また、慢性肝不全患者には高率に耐糖能異常が合併している。予備能の低下した患者では低栄養状態も顕在化しており、食事でのエネルギー制限は一層の低栄養を助長する。間接カロリーメーターを用いて安静時エネルギー消費量を測定することによって適切なエネルギー量を投与しつつ糖尿病に対する薬物療法を併用することで低栄養状態を進行させることなく血糖のコントロールを行う必要がある。
  • 野村 浩一郎
    2005 年 20 巻 2 号 p. 2_27-2_32
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/12/27
    ジャーナル フリー
    慢性呼吸不全患者で栄養障害を合併している場合、急性増悪を来しやすく予後が不良である。慢性呼吸不全患者に対する管理においては、呼吸機能障害のみに目を向けるのではなく、栄養障害を含めた全身の機能障害として評価し治療することが重要である。栄養管理の目的は、運動耐容能を改善させるために運動療法の効果を高めること、急性増悪からの回復のバックアップ、急性増悪の回避である。安定期、急性増悪期により栄養管理の考え方も異なる。包括的呼吸リハビリテーションにおいてチーム医療の立場から、十分なカロリー、分枝鎖アミノ酸の豊富な蛋白質、ビタミン、ミネラルの摂取など管理栄養士が専門的視点から慢性呼吸不全の栄養管理で期待される役割は大きい。
  • 今給黎 敏彦, 鈴木 重伸
    2005 年 20 巻 2 号 p. 2_33-2_36
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/12/27
    ジャーナル フリー
    維持透析患者数は年々増加している。また、透析期間の長期化、高齢化により全身状態や栄養状態が不良な患者数も増加している。そのため維持透析患者における栄養管理の重要性が高まっている。腎不全患者は糖、蛋白質、脂質、電解質など種々の代謝異常を有する。さらに患者個々での病態も多様である。栄養管理の基本は十分量のカロリーと低蛋白で、水分、Na、K、Pなどを制限、調整する。腎不全の特殊性を理解し、臨床症状および検査値などを参考に個々の病態に即した栄養管理が必要である。
JSPEN全国栄養療法サーベイ委員会 報告
原著
  • 逢坂 悟郎, 飯島 正平, 正木 克美, 浜崎 大助
    2005 年 20 巻 2 号 p. 2_49-2_55
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/12/27
    ジャーナル フリー
    高齢者に対する筋力トレーニングの効果は知られているが、その際にどの程度の栄養摂取が適切なのかについての報告は稀である。今回、15例の虚弱高齢者 (84.1±1.5才, 平均±SE) に4週間の筋力トレーニングを行い、カロリー摂取量とトレーニング効果の関係について検討した。
    全例での結果は、膝関節伸展筋群の筋力は51.9±13.3%、大腿四頭筋断面積は7.3±1.9%の有意な増加を示した。
    また、カロリー摂取量と効果の関係を見るため、エネルギー摂取量が必要量を上回ったA群 (n=7) と下回ったB群 (n=8) の2群に分けて検討した。大腿四頭筋断面積の増加率はA群で10.6±2.3%、B群で4.4±2.6%であり、A群で有意に大きい増加を示した。
    以上より、筋力トレーニングは虚弱高齢患者に対して筋力増強、筋肥大効果をきたした。また、エネルギー必要量を上回るカロリー摂取は筋肥大を促進することが示唆された。
  • ―潰瘍性大腸炎とクローン病との比較―
    富田 真佐子, 高添 正和, 近藤 健司, 福田 能啓, 矢吹 浩子, 片岡 優実
    2005 年 20 巻 2 号 p. 2_57-2_65
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/12/27
    ジャーナル フリー
    炎症性腸疾患 (潰瘍性大腸炎とクローン病) 患者の多くが食事療法や栄養療法をおこなっているが、それに伴う心理社会的問題はQOLに影響していると予測される。そこで、質問紙法によって炎症性腸疾患患者のQOL、栄養や食生活に関する問題、およびそれらの関係について明らかにすることを目的に研究を行なった。対象者は潰瘍性大腸炎262名、クローン病453名、計715名である。SF-36の平均値は特に「全体的健康感」と「日常役割機能 (身体)」、「社会生活機能」が低かった。生活満足度は、男性クローン病患者で低かった。クローン病では潰瘍性大腸炎よりも脂肪や食物繊維、肉類を制限している割合が高く、81%が経腸栄養法を施行していたが、低体重者 (BMI≦18.5) の割合は高かった。食事制限が影響する諸問題は、クローン病の方が多かったが、QOLとの相関はむしろ潰瘍性大腸炎の方が高かった。両疾患とも食事に関することはQOLに影響しており、栄養に関するセルフケアヘの援助や精神的なサポートがQOLを高める上での重要なポイントとなることが示唆された。
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