抄録
本邦においては慢性期病院ではPEGの推進が効果的な手段となり、ADLの改善、在院日数の短縮、経済効果などの栄養サポートチーム(NST)のアウトカム評価が比較的容易になされてきた。一方、当院は527床の急性期型地域中核病院であり、平成15年5月に発足したNSTの日常業務は定着したが、特に急性期病院でのアウトカムは段階的に評価されるべきと考えている。短期的には能率的な日常業務の設定による正しい栄養療法の普及と実践であり、長期的には合併症、特に感染症の減少、在院日数の短縮、経済効果から、病診連携への貢献である。厳格なTPNの適応の下で、MRSAの発生患者数はTPN処方数の減少とともに減っており、有意な相関関係を示した。在院日数の明らかな短縮は確認されなかったが、収支決算では徐々に改善している。1st stepとして、日常業務への定着であり、2nd stepとして感染症の減少や経済効果であるが、正しい栄養療法の標準化から、病院職員全体の意識の高揚と啓発、チーム医療の重要性の再認識に寄与した。院内で確認されたアウトカムは、病診連携の下においても再現する必要がある。退院後も栄養ケアネットワークの中で情報の共有化を図り、レベルの高い栄養療法を維持することが3rd stepのアウトカムを生むものと期待される。