抄録
栄養管理はすべての疾患治療のうえで共通する基本的医療のひとつである。この理念のもと尾鷲総合病院にNST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム)が設立され、5年が経過した。NSTの活動は、NST症例を抽出するツールである入院時初期評価の導入やNST本体と専門的ケアを行う褥瘡チーム、摂食・嚥下障害チーム、呼吸療法チームの3つのワーキングチームを統括するNSTパスの導入によりNST運営システムが構築され、チーム医療が確立された。その結果、高齢者医療に代表される複数疾患を有する症例やハイリスク症例に対して、NSTの有用性を示し、また、医療の安全を確保するとともに、病院の質の向上と運営の合理化や経営の改善をももたらす大切なツールとも考えられる。本稿では、尾鷲総合病院NSTの5年間における活動を通じて、その効果について述べる。