静脈経腸栄養
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臨床経験
肝硬変患者に対する長期の夜間就寝前栄養(LES)による栄養アセスメントとQOLについて
奥田 博明白鳥 敬子立松 栄次
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2006 年 21 巻 4 号 p. 4_71-4_77

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抄録
代償期肝硬変患者における栄養管理として、C型肝硬変患者2例を対象に夜間就寝前栄養(late evening snack;以下、LESと略)を用いた栄養療法を実施し、長期的LESの効果を検討した。通常食あるいは肝不全用経腸栄養剤による200 kcal程度のLESをそれぞれに3ヶ月間実施し、3ヶ月目からは2例ともに肝不全用経腸栄養剤によるLESに変更し2年間継続実施した。通常食によるLES実施ではコンプライアンスが不良であったが、肝不全用経腸栄養剤によるLES摂取はコンプライアンスが良好で長期継続可能であった。LESの長期実施の結果、3ヶ月以降徐々に窒素出納(以下、N-balanceと略)、非蛋白呼吸商(non-protein respiratory quotient;以下、npRQと略)及び基質燃焼比率、自他覚症状(こむら返り、不眠)の改善効果が得られた。SF-36による生活の質(quality of life;以下、QOLと略)評価では、これらの改善に伴い“精神的健康度”の改善が認められた。肝硬変患者におけるLESは長期的栄養療法として有効であり、特に肝不全用経腸栄養剤によるLESはコンプライアンスが良好であった。代償期肝硬変患者(Child-Pugh分類:A)では、コンプライアンス及び治療効果の両面に対し肝不全用経腸栄養剤によるLESでの適応の可能性が考えられた。
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© 2006 日本静脈経腸栄養学会
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