抄録
Clostridium difficile(以下、CDと略)関連下痢症(以下、CDADと略)は抗菌薬投与後の下痢症の1つとして知られている。遠州総合病院では従来、CDAD患者の約70%にバンコマイシンが投与され、多くの場合は絶食、補液のみが治療の原則となっていた。今回、当院NSTは細菌検査室と連携して、CDADの発生とほぼ同時に症例に関わり独自のプロトコールを作成し、バンコマイシンの減量とプロ、プレバイオティックスの併用により治療する試みを行った。CDADのhigh risk症例に対する3日間のバンコマイシン投与と、絶食にしないGFO®+エンテロノンR®療法は従来のバンコマイシン+絶食療法と比較して、早期の排便回数の減少(2~4日)、治療後の便の有形化、水様便の消失という点で優れていた。