静脈経腸栄養
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臨床経験
完全静脈栄養施行中の末期腎不全患者における脂肪乳剤の褥瘡及び栄養状態に対する効果の検討
池内 秀和米倉 芳香武藤 裕子前澤 晃
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キーワード: 腎不全, 脂肪乳剤, 褥瘡
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2007 年 22 巻 1 号 p. 53-56

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抄録
近年、必須脂肪酸の投与が褥瘡の改善に有効であったとする報告がされているが、栄養学的な問題から褥瘡が悪化しやすい傾向にある末期腎不全患者に対する効果は明らかではない。我々は完全静脈栄養を施行している末期腎不全患者に対する脂肪乳剤の褥瘡への効果を調査した。2001年1月~2004年12月の間に当院に入院し、栄養補給が完全静脈栄養のみの褥瘡を有する末期腎不全患者8例を対象とした。完全静脈栄養開始日と1ヵ月後に各種栄養学的指標・肝機能及び褥瘡面積の変化率を測定し、投与群4例と比投与群4例で比較検討を行った。1ヶ月の時点で、各種指標は投与群で改善傾向を示し、特に褥瘡面積でその差は有意だった(投与群-2.0cm2、非投与群+0.5 cm2、p=0.03)。本研究結果より、末期腎不全患者に対する脂肪乳剤の投与が褥瘡を改善させる有効な治療法となり得る可能性が示唆された。
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© 2007 日本静脈経腸栄養学会
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