抄録
経腸栄養法(enteral nutrition:EN)は経静脈栄養法(parenteral nutrition:PN)に比して生理学的に経口摂取に近く、消化管ホルモン動態なども、より正常に維持することができる。また、合併症が少なく、より安全に管理することができる。しかし、高齢者の場合は身体的に予備能が低下し、臓器障害も多く見られる。よって若年層の患者よりもよりきめの細やかな投与法が検討されなくてはならない。また、経腸栄養投与と同時にリハビリテーションも考慮しなくてはならない。臨床栄養学は医学の中で最も経験的に施行されてきた分野であるが、経腸栄養法は特に慣習的に行われ施設によってまた、施設内でも投与方法が一定になっていない。本稿では高齢者に対する標準的な投与方法と合併症の予防に対する新たな投与法を提言し概説する。