抄録
高齢者は様々な要因から容易に低栄養状態に陥る。加齢に伴う基礎代謝量や身体活動量の低下、消化吸収に関連する生理機能の低下もみられ、合併する疾患や病態により一層拍車をかける場合がある。人における老化にはかなり個人差があり、かつ高齢者は種々の疾患を持つことより多くの薬物を服用していること、また薬に対する感受性の高まっていることなどにより副作用の発現が多い。薬物治療における副作用が低栄養状態を招き、治療を妨げていることが報告されている。栄養状態に影響を及ぼす各副作用症状から薬物をとりあげ、その薬物の副作用の発生メカニズムについて概説する。