抄録
Nutrition support teamが医療環境に定着したことで、栄養療法に興味を持つ薬剤師も急速に増加した。しかし、その一方で、医学的根拠に欠ける研究報告も増加した。この原因は、学部教育において静脈経腸栄養療法に関する基礎教育の必要性を示唆している。薬学部では臨床技能評価に注射薬の調製業務を取り入れたが、患者を想定していない。日本静脈経腸栄養学会でも「NST専門療法士スキルアップセミナー」を開催し、各職種の特異性を発揮させるための検討が開始された。薬剤師の職能教育の観点からは、栄養療法は、therapeutic drug monitoring(TDM)の一環と考えられる。何故ならば、投与成分のすべてを生化学検査でモニターできるからである。従って、薬剤師の専門教育はTDMとして栄養療法を化学的に評価する能力に焦点を当てるべきである。