静脈経腸栄養
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特集:NSTにおける各職種の専門教育のあり方
NSTにおける臨床検査技師教育について
坂本 芳美
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2008 年 23 巻 1 号 p. 37-42

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抄録

検査技師教育では、臨床検査は診断のための検査として、より迅速に、より精確に報告することが目的のごとくされてきた。
そして、臨床現場では検査室からの報告値が絶対的な値として利用されている。
しかし、報告値は必ずしも患者の病態を反映しているものばかりではない。生理的変動などの要因のほか、測定値は必ず一定の不確かさを伴っているため、今回値と前回値の変動が評価にたる値であるかどうかを検証することはNSTの一員である検査技師がしなければならない。今までの分析中心の検査だけでなく、報告値の解析も検査技師に必要である。
また、“検査は診断のためにある”という基本的概念から基準範囲にこだわりやすく、栄養評価で“良くなる”=“基準範囲に入る”と解釈しがちである。しかし、臨床現場では今回値が前回値より基準範囲に近づくことで“良くなった”という解釈に切り替える必要がある。
このような解釈は、患者に直接触れ合う環境でなければ教育できない。NSTにおける検査技師教育で求められていることは、検査結果の臨床適応に対する判断能力を身につけることである。

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© 2008 日本静脈経腸栄養学会
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