静脈経腸栄養
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原著
肝障害の程度と肝切除後の脂肪乳剤投与の影響
宇佐美 眞三好 真琴寒原 芳浩坂木 宏衣青山 倫子秀野 克仁平田 建郎高橋 応典上野 公彦
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2009 年 24 巻 2 号 p. 585-594

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抄録
【はじめに】脂肪乳剤投与による肝再生の促進および肝切除後の外因性脂肪乳剤利用促進等が報告されているが、肝硬変時の脂質代謝変化による長鎖脂肪投与の問題点も指摘されている。今回、肝切除手術後早期に糖、アミノ酸、脂肪の3大栄養素が配合された高カロリー輸液を投与し、その安全性について検討した。
【対象および方法】肝切除術23症例を対象に術後1-5日に糖、アミノ酸、脂肪を配合した高カロリー輸液管理を行った。症例はICG 15% 未満群 (12症例) と以上群 (11症例) に分類し、脂質代謝、血糖値および肝機能におよぼす影響を比較した。
【結果】血糖値は術直後に上昇したがその後低下し、TG、遊離脂肪酸およびリン脂質は両群間で差を認めなかった。総コレステロールおよびリン脂質は術後に有意な低下を認めた。AST、ALTは両群とも術後有意に増加したが、総ビリルビンはICG15%未満群のみで術後に有意に増加した。
【結論】肝障害の程度による脂肪乳剤投与の影響の違いは認められず、いずれの群でも明らかな副作用は認められなかった。
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© 2009 日本静脈経腸栄養学会
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