静脈経腸栄養
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24 巻 , 2 号
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特集:NST管理栄養士・真の役割は何か
  • 辻仲 利政
    2009 年 24 巻 2 号 p. 539-542
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    NST管理栄養士には、従来の管理栄養士業務に加えて新たな任務が必要とされる。新たな任務は本来の業務を実践するために必要とされるものであり、対立するものではない。唯一の栄養管理専門職として、NST活動の中心メンバーとなり、外科医の期待に答えることのできる専門的能力と技術を身につけなければならない。これらの能力と技術は、実践活動を通して磨かれる。NST実地研修における指導を担当し、摂食嚥下チームにおいても不可欠の存在である。周術期栄養管理においても、未解決の問題や未導入のエビデンスが残されている。管理栄養士は外科医と協力してより良い医療の実現を目指さなければならない。当院においては、管理栄養士は十分期待に答える役割を果たしてきた。しかしながら、個々の能力や積極性は一律ではなく、指導的立場の管理栄養士の質と能力が重要である。
  • 位田 忍, 西本 裕紀子
    2009 年 24 巻 2 号 p. 543-548
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    小児において栄養障害により身体発育障害、新陳代謝の抑制、創傷治癒の遅延や容易に感染などが生じるだけでなく、栄養が回復した後にも身体発育や脳発達に永続的な悪影響を与える可能性がある。こどもの成長を線で捕え、その軌道が外れないように見守り、軌道が外れていれば適切にその原因を評価し早期に軌道修正をすることが健全な発育発達に重要であり“栄養”はその中心的な役割を担っている。それ故にNSTにおける栄養士の役割は大きく、現状の把握に終わるだけが役目ではない。栄養障害の原因と結果を常に考えながら情報を収集しまた評価したものを患者と一緒に、どのように実践に結び付けるようにするかを考え、行動することこそが管理栄養士の重要な役割である。患者の予後は管理栄養士の肩にかかっているといって過言はない。
  • 長谷部 正晴
    2009 年 24 巻 2 号 p. 549-559
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    日本のNSTの水準を向上させなくてはならない. それには教育の改革が当面の課題となる. 現行の学会主導の資格認定を前提とした教育に、しっかりした骨組みとなるカリキュラムを策定することが課題解決の一助となる. 筆者は本特集の企画を、NSTスタッフに質の向上を求めるうえで到達すべき行動目標を設定することにほかならない、と考えた. 行動目標の設定と目標到達のための指針をクリティカルケア領域の医師の立場から示した. 侵襲に共通する生体反応を総論として扱い、各論として熱傷、外傷、敗血症、および重症急性膵炎を取り上げた.
  • 山本 章, 塩谷 あけみ, 森 亜希子, 内藤 麻美, 白井 宏明
    2009 年 24 巻 2 号 p. 561-566
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    介護老人保健施設(老健) は本来、病院から家庭生活に戻っての自立を支援する、いわゆる「生活リハビリ」を目的として作られた中間施設である。しかし現実には、介護福祉施設(いわゆる特養) への入所待機中の滞在の場となり、また介護者の負担軽減のために家庭との間を行き来する(在宅介護を支援する) 場となっていることも多い。老健を利用する人は認知症を主として身体活動に大きな異常のない人々から、重度の精神・身体障害のために実質的に寝たきりの人々まで極めて多様であるが、最近は高血圧と糖尿病をリスクファクターとして脳卒中から高次脳機能障害に陥入り、嚥下障害のために胃瘻から栄養補給を受けている人々の入所希望が多くなりつつある。こうした状態は特養も同様であるが、終の棲家に当たる上、看護師の数が少ないために施設への負担はむしろ老健よりも大きい。老健の持つハンディは、医療保険が自由に使えず、医療費が人件費を初めとする諸費用と共に包括払いとなっていることである。そのため、高価な医薬品を使うことが出来ず、チューブ栄養の注入液も食品の範疇に入るものに限られる。したがって、医薬品を自由に使える在宅医療から施設介護に移行する場合にトラブルを起こさないように注意が必要である。特養も老健も医師の往診あるいは数、看護師の数は限られている。介護士の数も充分でなく、しかも自由な医療行為が許されていないので、施設では病院のように充分な医療を提供することが出来ない。華やかに進歩した医療の陰で、自立への復帰から取り残された人々の介護に大きな制約が存在する。唯一つ施設介護で上に挙げた各種の制約を補うものは、全ての職種(医師・看護師・栄養士・介護士・療法士) が一体となってのチーム医療の実行であるが、精神を鼓舞するだけでは十分に実を挙げ得ないことも理解してほしい。
  • 野崎 歩
    2009 年 24 巻 2 号 p. 567-569
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    我々薬剤師と管理栄養士は臨床現場の中では非常に似た立場にあると思う。薬剤師は薬を使い、管理栄養士は食品を使って臨床へ介入していく。しかし、これらのツールに依存し過ぎると足元をすくわれ大きな過ちを起こしてしまうこともある。まず、臨床現場が求める我々の役割とは何かを常に自分に問う必要性がある。私が考える薬剤師像に管理栄養士を重ねてその役割について考えた場合、管理栄養士が果たす臨床現場での役割はまさに現場にあると思う。
  • 川口 恵, 東口 高志
    2009 年 24 巻 2 号 p. 571-575
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    チーム医療が推奨されている昨今、NST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム)は、職種の壁を超えたチーム医療の代表と言える。NSTスタッフの役割には、チームの一員として栄養療法に携わるものすべてに共通する基本的事項に加え、各職種のもつ専門的な知識や技術を栄養療法に生かし実践する役割がある。各職種が、専門性を発揮することで、チーム全体の質を高めることができる。
    管理栄養士の役割は、NSTの普及とともに大きく変わった。厨房から病棟へと活動の場は広がり、栄養療法の専門家として果たさなければならない役割も大きい。管理栄養士は、チーム医療における医師や看護師と対等な関係で専門的役割を担うとともに、高齢者に対する栄養管理、生活環境や病態別の具体的な栄養管理、身体状況や栄養状態に応じた具体的な栄養管理など、様々な栄養管理方法に対しての指導・提言が求められている。
原著
  • 笠井 久豊, 川口 香, 村林 由紀, 佐久間 隆幸, 森谷 勲, 清水 敦哉
    2009 年 24 巻 2 号 p. 577-582
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    【目的】経皮内視鏡的胃瘻造設術 (percutaneous endoscopic gastrostomy: PEG) 施行後30日以内の早期死亡を予測できる指標を明らかにするため本研究を行った。
    【対象及び方法】2003年5月から2005年12月までにPEGを施行した170例につき年齢、術前の血清アルブミン値、トランスサイレチン値および総リンパ球数と早期死亡率との関連を検討した。
    【結果】PEG施行170例のうち早期死亡例は18例 (10.6%) であった。血清アルブミン値が2.5g/dl以下の症例の早期死亡率は有意に高率であり、特に90歳以上の症例では50%と極めて高率であった。多変量解析では血清アルブミン値が最も予後に相関する因子であった。
    【結論】PEG施行後の早期死亡の予測には、血清アルブミン値が最も適しており、本測定値が2.5g/dl以下の症例には、PEGの適応決定には慎重であるべきと思われた。
  • 宇佐美 眞, 三好 真琴, 寒原 芳浩, 坂木 宏衣, 青山 倫子, 秀野 克仁, 平田 建郎, 高橋 応典, 上野 公彦
    2009 年 24 巻 2 号 p. 585-594
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    【はじめに】脂肪乳剤投与による肝再生の促進および肝切除後の外因性脂肪乳剤利用促進等が報告されているが、肝硬変時の脂質代謝変化による長鎖脂肪投与の問題点も指摘されている。今回、肝切除手術後早期に糖、アミノ酸、脂肪の3大栄養素が配合された高カロリー輸液を投与し、その安全性について検討した。
    【対象および方法】肝切除術23症例を対象に術後1-5日に糖、アミノ酸、脂肪を配合した高カロリー輸液管理を行った。症例はICG 15% 未満群 (12症例) と以上群 (11症例) に分類し、脂質代謝、血糖値および肝機能におよぼす影響を比較した。
    【結果】血糖値は術直後に上昇したがその後低下し、TG、遊離脂肪酸およびリン脂質は両群間で差を認めなかった。総コレステロールおよびリン脂質は術後に有意な低下を認めた。AST、ALTは両群とも術後有意に増加したが、総ビリルビンはICG15%未満群のみで術後に有意に増加した。
    【結論】肝障害の程度による脂肪乳剤投与の影響の違いは認められず、いずれの群でも明らかな副作用は認められなかった。
調査報告
  • 西園 憲郎, 我妻 仁, 佐々木 吉幸, 稲瀬 實, 賀勢 泰子, 安藤 哲信, 倉田 なおみ
    2009 年 24 巻 2 号 p. 595-598
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    内服薬を経管に投与する場合, 錠剤粉砕・カプセル開封をして粉末状に調剤し, その薬を水に懸濁させてチューブから注入する。これが, どこの病院, 施設, 在宅の場で、何十年間も当然の流れとして慣例的に実施され, それが疑問視されることもなく今日まできた。しかし、薬を経管に投与を行う現場ではチューブ閉塞や薬の投与量のロスなどたくさんの問題が発生している。そのような事例を薬学的な観点から考えた“簡易懸濁法”が発案された。「内服薬経管投与ハンドブック」 (じほう) 初版の冒頭に「今後の医療に変革をもたらす可能性のある技術を紹介する本である」と書かれている。簡易懸濁法はこの書籍の出版を契機として急速に全国に広まり, 定着しつつある。
    そのような中、日赤薬剤師会では簡易懸濁法に関するアンケートを平成18年と19年の2回実施し、その普及率の増加が判明するデータを得ることが出来た。簡易懸濁法実施病院は、平成18年1月から19年6月の1年半で15%も増加しており、「簡易懸濁法」は、粉砕によるロスがなくなるなどメリットが多いと回答していた。今回のアンケート結果から、未実施病院でも簡易懸濁法に興味を示し、さらに普及してくると考えられる。本稿では、アンケート集計結果について概説した。
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